ブランド買取業界で躍進する”なんぼや”のSEO戦略の要点は「コンテンツ」にあり!!

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はじめに

さて、近年「ミニマリスト」「断捨離」といった言葉が注目されたり、「片付け術」がベストセラーになったりするなど、多くを持たずモノを捨てることを敢えて行う人が増えていますよね。そういった背景を受けて改めて注目されているのが買取サービス。みなさんも一度は使ったことがあるのではないでしょうか?

特に最近ではメルカリに代表されるCtoCサービスの台頭や、漫画・書籍の電子書籍化などにより、リユース業界はその構図が大きく変わり始めています。

今回はリユース業界で破竹の勢いで成長するなんぼや(株式会社SOU)のSEO戦略にフォーカスし、弊社が実際にお客様にご提案する際に実施している調査を踏まえてお話をしたいと思います。

買取業界のビジネスモデル・市場動向となんぼや

成長が鈍化する市場でもなんぼやは見事に成長している

リユース業界全体の市場規模は1.6兆円(2017年)と、昨対比105%で緩やかな成長率ですが、その内訳は多種多様。

業界最大手のゲオやブックオフの苦戦が続く中で、ブランド品の買取に特化する「なんぼや・ブランディア・大黒屋」は順調に売上を伸ばしており、特になんぼやは後発でありながら(2011年創業)、大黒屋(1999年創業/2017年売上204億)とブランディア(2004年創業/2017年97億)を差し置いて、昨対比140%成長の売上219億と大躍進を遂げています。

ブランド業界の認知度では、菜々緒さんの「ブランド売るならブランディア♪」のCMでお馴染みのブランディアが圧倒的に先をいっている印象です。実際にブランド指名キーワードでの検索回数を比較してみると一目瞭然です(下図グラフ参照)。

キーワード Google月間想定検索回数
ブランディア 110,000
大黒屋 90,500
なんぼや 9,900

※GoogleAdwordsキーワードプランナーより算出(7/10調べ)。

では、知名度でブランディアに劣るなんぼやに焦点をしぼり、どのようなSEO戦略をとっているのかを調査し、後発で参入する事業者や中小企業こそが模倣できる部分を模索したいと思います。

リユース業界のビジネスモデル

リユース業界はネットでの集客が主流に

リユース業界のビジネスモデルはシンプルに中古品を仕入れ転売したその差額が儲けとなります。

特に、新品と異なり中古品は仕入量の調整が難しいため、各社店頭で消費者からの買い取りだけではなく(店舗買取)、Webサイトを活用した見積もり査定(LINEなど)、宅配便を利用した買い取りシステム(宅配買取)などを採用する企業が今ではほとんどです。

マーケティングにおいて買取業界でSEOが担う役割

SEOでの集客力が成長率に影響(?)

さて、ここでようやくSEOの登場です。上記背景を踏まえて中古品の仕入元をWebに注力している企業が伸びている傾向があります。

ブランディアは実店舗を一切持たず、中古品の仕入れから販売までWeb完結することで、直近3年で売上2倍以上に成長させています。

そしてなんぼやの戦略はというと、一般的に他企業が仕入れた商品をエンドユーザーに販売するのに対し、「オークション形式で法人に販売する方法」を取っており、在庫回転率は業界平均の約4倍ともいわれています。

つまり、販売力が大きな差別化要因となっているようです。あとはどれだけ仕入れを強化できるかが成長のための論点となります。SEOは認知度に影響を受けず、かつ店舗展開型よりもコスト効率の良い方法となりますので、重要な戦略となり得るのではないでしょうか。

SEOの戦いにおいて勝つ為には「ドメインの強さ」が重要な要素の一つであり、それはほとんどの場合先行優位が働きます。なんぼやのマーケットインはブランディア、大黒屋に比べ約7年~10年ほど遅れていますが、最後発としての不利を見事に克服し飛ぶ鳥を落とすかのようななんぼやのSEO戦略を分析します。

キーワード把握

顕在層・潜在層キーワードを含め639キーワードで調査を実施

まずめにブランド買取を検討するユーザーが検索するキーワードを網羅的に洗い出します。

ここでは、特に検索回数が多く集客に影響が大きいと思われる1~2語掛け合わせキーワードを中心に調査します。キーワードの種類は、買取ニーズが高いと思われる顕在キーワードと、情報収集が目的と思われる潜在キーワードの合計639キーワードを対象としました。

なお、対象キーワードの選定基準として、なんぼやの取り扱い主要ブランド・アイテム、及び店舗エリアに絞ってキーワードを拡張しています。

▼調査キーワード一覧

キーワード
属性
種別 キーワード例 月間検索回数 調査キーワード数
顕在 アイテム名 着物 買取 172,420 20
ブランド名 ロエン 買取 40,320 181
エリア 着物 買取 大阪 37,800 234
買取方法 店舗買取 22,560 4
ブランド買取 ブランド買取 19,800 1
ブランド×アイテム名 ルイヴィトン 時計 買取 5,100 83
シリーズ名 サブマリーナー 買取 4,160 39
潜在 断捨離関連情報 断捨離 503,120 27
ブランド関連情報 有名人 時計 16,320 1

検索回数と順位整理

なんぼやは特に検索回数が多いアイテム名・ブランド名のキーワード種別で集客に成功

次にこれらのキーワードカテゴリごとの平均順位を、競合サイトと比較します。

グレーの棒グラフがキーワードカテゴリ全体のYahoo!・Google合計の月間想定検索回数、折れ線グラフが各サイトの平均順位を表します。

▼各カテゴリごとの検索回数と各サイトの平均順位の整理 (2018/7/10Yahoo!より取得)
各カテゴリごとの検索回数と各サイトの平均順位の整理

なんぼやサイトのキーワード種別ごとの平均順位に注目すると、顕在層では検索回数が多い「アイテム名」「ブランド名」(エリアはなんぼやが店舗を持つ地域に限定しているため順位が高い傾向があるためここでは除外)が集客に貢献しているようです。

また、前述した種別に比べると検索回数は少ないものの、CVに近いと思われる「ブランド×アイテム名」「シリーズ名」といったキーワードも軒並み上位表示が出来ています。

一方、潜在層ではブランド関連情報が平均順位は29位なものの、検索回数が多い断捨離関連情報では軒並み3サイトとも圏外となっており今後の伸びに期待できそうです。

後発でありながら大黒屋、ブランディアを追い越す

また、参考までに外部ツールahrefsを使った3サイトのSEO経由の月間想定セッション比較は下記のとおりです。

この3サイトの中で比較すると、なんぼやが67,030/月と最も多く、続いて大黒屋が47,172/月、ブランディアが38,947/月となっており、なんぼやは後発でありながら既に大黒屋、ブランディアのセッションを追い抜いてます。

次章以降では実際になんぼやのSEO躍進の背景についてサイト分析を通して紐解いていきます。

指名検索を除外した自然検索流入数の比較

対象キーワードで上位表示するために必要な要素

コンテンツ評価・外部リンク評価によりサイト価値を高め、正しいコーディングにより適切にGoogleに伝えることが必須

はじめに上位表示に必要な要素を整理します。「①コンテンツ評価が高い」「②外部リンク評価が高い」「③Googleガイドラインに則ったコーディング」と大きく三つに分けられます。

さらにそれぞれのコンテンツと外部リンクもサイト単位で「質・量」ともに高い水準となることが求められます。具体的にはコンテンツ評価では、「サイト全体でキーワードに関連するコンテンツが多い」ことや「対象ページのコンテンツがユーザーニーズを満たしている」ことが重要であり、外部リンク評価では「サイト全体で評価の高いサイトからリンクを多く集めている」ことや「対象ページに評価の高いサイトからリンクを多く集めている」ことが求められます。

▼対象キーワードで上位表示するために必要な要素の整理
対象キーワードで上位表示するために必要な要素の整理

上記の概念を頭に入れた上で、コーディングはどちらのサイトも一定完了している前提に立ち、今回は特に差が生まれやすい、「①コンテンツ評価」「②外部リンク評価」の二つに焦点を絞り分析を行います。

コンテンツ評価-①対象ページのコンテンツがユーザーニーズを満たしているか

なんぼやはページ単位の情報量の豊富さで競合サイトより優勢

まずは「ページ単位」におけるコンテンツ分析です。下記は「オメガ買取(YG合算月間検索回数1,440回)」で検索した際のなんぼやと競合2サイトのランディングページに含まれるコンテンツ要素を抽出し比較しています。

対象サイトがコンテンツを保有している項目に「◯」を記載しています。「オメガ買取」で検索するユーザーが知りたいと思われる情報に対して数多く情報を用意することで、「オメガ買取」についてユーザーニーズをより満たし網羅性が高いという評価を得て、現在2位を獲得しています(7/19現在)。

▼オメガ買取で検索時の各サイトの順位とランディングページに含まれるコンテンツ

コンテンツ要素 なんぼや 大黒屋 ブランディア
オメガ高額買取の理由
オメガ買取対応モデル
オメガ買取の参考買取価格
オメガ買取実績・ランキング
オメガ買取Q&A
高級時計の買取強化ラインナップ
その他買取できるアイテム
選ばれる理由
オメガ買取のお客様の声
店舗案内情報
オメガの説明文
買取査定のレコメンド情報
買取査定の流れ
オメガ買取スタッフコメント

具体的にはなんぼやは「オメガ買取」のサジェスト・関連語で出てくるキーワードを意識しコンテンツを作成しています。

実際に ahrefs より抽出したデータによると、この1ページだけでビッグキーワードである「オメガ買取」を軸とした90種類近くのキーワードでセッションを獲得できていることがわかります。

▼なんぼやのオメガ買取ページの流入キーワードデータ

コンテンツ評価-②サイト全体でキーワードに関連するコンテンツが多いか

なんぼやはサイト全体の情報量の豊富さでもブランディアに肉薄

続いて「サイト全体」におけるコンテンツ分析です。特定キーワードでの上位表示においては、1ページあたりの情報量だけでなく、サイト全体で「キーワードに関連するコンテンツ」をどれだけ保有しているかも重要な評価指標になります。

ポイントは「キーワードに関連するコンテンツ≠ページ数」という点です。少しわかりにくいので具体例を交えてお話しましょう。例えば、下記は「エルメス」というフレーズをタイトルに含むページ数を競合3サイトで比較しています。

単純に「エルメス」に関するページ数が上位表示に直結する場合、ブランディアが153,000ページと2番目のなんぼやの3,820ページを大きく引き離しており、圧倒的に有利になると推測できます。

エルメスのページ数

▼ブランディアの過去の買取査定ページ
しかし実際の順位は「エルメス買取」でなんぼやが1位を獲得できています。これはページ数ではなく「キーワードに関連するコンテンツ」においてなんぼやがGoogleから評価を得ていると推測できます。

「キーワードに関連するコンテンツ」をわかりやすく言い換えると「上位表示しているエルメスの関連キーワード」を指しています。実際に「エルメスの関連キーワード」で上位表示しているキーワード数をドメイン単位で競合サイト比較した数値が下記のグラフです。

ここから見て取れる通り、なんぼやはページ数では圧倒的にブランディアに劣るものの、エルメス関連キーワードの上位表示数においては大差がないことがわかります。

関連コンテンツ数の比較

ブランディアは買取実積ページでエルメスの関連情報を保有

それではなんぼやはどのようなコンテンツでブランディアと同等の評価を得ているのでしょうか?

ここが今回の一番のポイントです。まずはエルメス関連キーワードでブランディアがセッションを獲得しているランディングページをコンテンツ種別ごとに分類したのが下図です。

こうしてみていくと、ブランディアはネット完結で、且つ事業の運営歴も長いことから、記事のネタにできる数多くの査定アイテムを資産として保有していると推測され、実際にセッションを獲得しているテーマも過去査定アイテムが8割を占めていました。

長く運営すればするほど継続的に増えていくというメリットもあり、逆にいうと、後発で参入した企業にとっては真似しづらい、いわば王者の戦略といえるでしょう。

▼ブランディアの保有コンテンツとその割合

コンテンツテーマ 上位表示キーワード数 割合
買取できるアイテム 43 17%
過去査定アイテム 200 81%
その他 3 1%
合計 246

なんぼやはコラムページでエルメスの関連情報を保有

一方で、なんぼやは下記のようなコンテンツテーマでエルメス関連キーワードでのアクセスを獲得しています。

事業の運営歴で劣るなんぼやはブランディアでは大半を占めていた過去査定アイテムの割合は案の定低く、代わりにコラムで関連テーマ数を大幅に補填していることが見てとれます。過去査定アイテムページとは違い、コラムであれば後発プレイヤーでも作成することが可能であり、まさにこの戦略は後発プレイヤーがなんぼやから学ぶべき点と言えるのではないでしょうか。

▼なんぼやの保有コンテンツとその割合

コンテンツテーマ 上位表示キーワード数 割合
買取できるアイテム 22 9%
過去査定アイテム 12 5%
店舗 16 7%
コラム 181 76%
その他 8 3%
合計 239

▼なんぼやの保有するエルメス関連語コラムページ
 icon-external-link https://nanboya.com/post-brand/hermes-bag-fourretout-hb/

また、なんぼやは他のブランド買取以外のアイテムジャンルでも同様の戦術を駆使し、関連語でのコラム記事を量産することで後発でありながら上位表示を達成していると推測されます。

特にブランド買取に関連するキーワードに対して多くのコンテンツを保有しており、ここからもブランド買取の関連キーワードに注力していると推測されます。

▼なんぼやの保有するコンテンツとそのページ数
赤文字=ブランド買取関連

対象ディレクトリのコンテンツジャンル ディレクトリ 流入キーワード ページ数
買取実績の店舗ブログ /weblog/ ブランド名×●●などブランドの関連語 2,130
ブランド百科 /brand-encyclopedia/ ブランド名×●●などブランドの関連語 98
ブランド買取雑学 /news/zatsugaku/ 時計 歴史 ブランド 80
雑学ブログ /zatsugaku/ アイテム名・ブランド名など関連語 66
ブランド買取裏情報 /news/urajouhou/ 財布 替え時 27
ブランドコピー商品見分け方 /news/judge/ ブルガリ 財布 偽物 見分け 方 17
芸能人愛用ブランド /news/geinou/ ブランド×芸能人 14
金情報サイト /kin-knowledge/ 金×●●など金の関連語 241
ダイヤモンド情報サイト /dia-knowledge/ ダイヤモンドの種類など関連語 117
時計修理 /watch-repair/ 高級時計 電池交換 51
宝石の見分け方 /jewelry-miwakekata/ ジュエリーの種類名など関連語 50
骨董辞典 /kottou-blog/ 画家名 45
宝石雑学 /news/jewelry-zatsugaku/ ●●×誕生石 34

外部リンク評価

なんぼやは被リンクドメイン数・DRにおいては劣勢

次に外部リンク評価の分析です。再び ahrefs よりデータを抽出し、特に重要な被リンクドメイン数とDR(ドメインレーティング)の二指標で調査を行いました。

なお、DRとは ahrefs 独自指標で1~100までレベルがあり、数字が高ければ高いほど外部評価が高いことを表します。

偏差値のようなものと捉えると理解いただきやすいかもしれません。以下、なんぼやと競合サイトの比較です。

被リンクドメイン数
※被リンクドメイン数はdofollowリンクに限定しています。


外部評価においては競合2サイトと比較して被リンクドメイン数・DRともに乖離がある状態であることがわかります。

一般的に上位表示を狙うフレーズを含む形で被リンクを受け取るとよりSEO効果が高まりますが、ブランディアは指名キーワードをアンカーテキストに含む被リンクドメイン数も多く(なんぼやが28本、大黒屋が32本に対して、ブランディアは219本)、CMなど4マス広告での露出も影響し数多くのリンク獲得に成功していると推測されます。

また、ドメイン取得年数もなんぼやが2011年に対して、ブランディアが2008年、大黒屋は2000年となっており、運用歴が競合2サイトは長い分、より多くの被リンクドメイン数を獲得することに成功し、DRが高まっていると推測されます。

これらの外部評価を踏まえると、競合2サイトに善戦できている要因は、前述したコンテンツに起因していると言えるのではないでしょうか。

なんぼやのSEO戦略のまとめ

以上の分析結果をまとめるとなんぼやのSEO戦略の特徴は下記と言えます。

・テーマ強調のために特定キーワードを含む記事を多数作成している
・作成する記事は特に「ブランド名×●●」というキーワードに絞って実施している
・結果、競合2サイトのドメイン評価での乖離を記事作成の効果によって補えている

なんぼやの今後の戦略

後発でありながら、見事にSEO集客を成功させているなんぼやが、今後取るべき戦略としては、買取査定に近い顕在層が検索するキーワードカテゴリでの更なる上位表示になるのではないでしょうか。例えば、平均順位13位のエリアカテゴリなどは、CVに近いがまだまだ伸びしろがあるキーワードです。

また、近年では実店舗型の買取事業者に加え、メルカリなどのネット完結且つ、専門バイヤーを通さないCtoC事業者の台頭が勢いを増しています。CtoCサービスにより、個人間での物販の売買がスマホを使って手軽に行えるようになった点が新しい部分です。

既存のリユース業界は少なからずCtoCサービスの影響を受けている可能性もありますが、一方で、高価なブランド品や骨董品などは、少し手間がかかっても鑑定士に査定をしてもらい、少しでも高く買い取ってもらいたい、そう考えるユーザーは今後もいると考えられます。そういったコアターゲットに対してのブランディング、集客が大切になってくると言えるでしょう。

さいごに

以上、ここまでなんぼやのSEO戦略を紐解いてきましたがいかがでしたでしょうか。なんぼやのように後発でありながらも、キーワードの優先順位を絞り、施策を実行する戦略を参考にできる企業は多いのではないでしょうか。

SEO・コンテンツマーケティングに注力しているが結果が思ったように出ない、あるいは注力していきたいが何から始めれば良いか分からない、など何かお困りのことがございましたらまずはご相談ください。みなさまからのご連絡お待ちしております。

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川口 太希
愛知県あま市出身、慶應義塾大学卒業。学生時代は10年間バドミントンに没頭、「本気の先に感動がある」という理念に共感し2013年にウィルゲートに新卒で入社。現在は新規営業を担当しており、SEO・コンテンツマーケティングにとらわれない、顧客ニーズに合った幅広い提案の経験が豊富。実績としては、大手葬儀会社や大手個別指導塾などがある。趣味はランニングで、サブ3.5達成を目標に励んでいる。