サービスサイトや資料に使う「サービスを使うメリット」や「サービスの特徴」などは、時間をかけて考えていますか?ちゃんと吟味して考えているという方もいれば、スピード重視でパパっと決めているという方もいらっしゃると思います。
特にサービスサイトだと、デザインを作る際に適当に作って入れ込んだものを、少し修正してそのまま使っているという方も、実は多いのではないでしょうか?サイト制作の進め方はいくつかありますが、サイト内のテキストはそこを担当する専門家がチームにおらず、なぁなぁに進んでいきがちな部分です。
しかしながらそのテキストをしっかりと作りこんだり、並べ方を変えたりすることで、サイトの成果に影響が出る場合もあります。
というわけで今回は、サイトに掲載している「サービスの強み」部分の細かい修正を行ったA/Bテスト事例をご紹介します。
目次
A/Bテスト事例
サービス説明の文言変更でコンバージョン率が5%改善!
私たちが運営しているサイトで、サービスのメリットを説明する文言を変更するテストを行いました。
その結果、サービスメリットを具体的に書き直し、さらに順序を入れ替えたテストパターンでコンバージョン率が5%上昇しました。
A/Bテストの概要
対象サイト(ページ)は私たちの会社の別部署が運営するクラウドソーシングサイト「サグーワークス」に仕事を依頼してくださる法人向けのランディングページです。
テスト期間は2014/10/3~2014/11/6の約1ヶ月です。
課題と仮説
サイトの直帰率が高く、滞在時間も短いという課題がありました。
ページの上の方で離脱している可能性が高いため、ファーストビューに入る部分でテストを行うことになりました。
仮説は
「訴求しているメリットが伝わっていないのではないか?」
というものだったので、基のパターンで提示しているメリットの見出しを具体的な文言に変更し、大きな文字を読むだけで強みがわかるように変更しました。
また、運営者側の意向として、サービスの強みとしてあげているもののうち、よりユーザーの反応がいいものはどれかというテストもしていきたかったため、強みの順序を入れ替えるというテストも併せて行いました。
テストパターン
テストしたバターンは以下の4つです。
・基のバターン
・テストパターン1
・強みを具体的に記述した文言
・強みの順序変更
・テストパターン2
・強みを具体的に記述した文言
・強みの順序は基パターンと同一
テストパターン3
・強みの文言はそのまま
・強みの順序変更
「強みの順序の変更」と「強みの文言の変更」を組み合わせ、4つのパターンを作成しました。テスト結果はテストパターン1の「強みの文言の変更」と「強みの順序の変更」をどちらも反映したパターンが最も改善効果が高いということになりました。
今回のテストのポイントは以下の2つです。
- 何が一番の強みなのかを知る
- 強みの伝え方を最適化する
この2点について以下でご説明していきます。
何が一番の強みなのかを知る
まずは「強みの順序変更テスト」の部分です。このテストはコンバージョン率向上のためのサイト改善の一環でもありますが、「ユーザーに刺さるメリットは何かの合意をチーム内で形成する」という側面が比較的強いです。
テストによって社内の意思決定スピードを加速させる
この強みの順序はユーザーに刺さるであろうという順番を予測して決定していましたが、「本当にそうなのか?」という検証をしていませんでした。
当初は「低価格」という部分を押し出していましたが、私たちの独自のノウハウであるキーワード選定の部分を押したほうがいいのではないかという意見もあり、どちらにするべきか迷ったため、テストの数値で決定することにしました。
デザインや細かい文言等で意見が分かれた時に、根拠が示せず決めるのに無駄に時間がかかってしまうという状況、みなさんも経験したことがありませんか?
そんなときは全てテストで決めるというのが、最も早く、多くのメンバーにとって納得感のある解決策になります。
特にランディングページのファーストビューなどはサイトにとって重要な部分なので、憶測やとりあえずで決めるのではなく、順番にテストして、その時のベストなものを選ぶというやり方で決めていくというのをおすすめします。
メリットを説明するときのポイント|「誰に」「何を」伝えるのか
次に「強みの文言の変更テスト」です。これは社内のコンサルタントが分析を行って出てきた仮説です。サービスのメリットを伝える場合、どうしてもありがちなのが「ユーザーにとってのメリット」ではなく「機能や事実」を書いてしまうということです。特にサービスサイトなどでは気付かないうちにそうなってしまっていることが非常に多いです。
特徴ではなく特徴の結果どうなるのかを伝える
サービスメリットを伝えるときは、機能や事実を羅列するのではなく「この機能によってあなたにこんなメリットがあります。」というところまで噛み砕いて伝える必要があります。
事実だけを書くことは、ユーザーに解釈する手間を強制しているようなものであり、相当モチベーションが高くない限り、理解する前に離脱してしまいます。
さらに、しっかりとメリットを書いていたとしても、パッと目に入りやすくなっていなければWeb上では簡単に見落とされてしまいます。
コピーライティングをWebライティング、それぞれの観点からチェックしなくてはなりません。
ここで、今回のテストの強みの文言の一部を変更前と変更後で比較してみます。
このように、「噛み砕いてわかりやすく」かつ「サイト内で見落とされないように目立たせる」ことが重要になります。
そしてここからさらに、「より分かりやすい伝え方はないか?」「他の部分とのコントラストは適切か?」などの観点でブラッシュアップしていきます。
注意!メリットを書くより特徴だけを書くほうが良い場合もある
ここで1点注意してほしいことがあります。それは「全ての場合においてメリットまでかみ砕いた表現の方が良いというわけではない」ということです。
以前私たちが行ったテストに、SEOツールのキャッチコピーのテストがあります。
このテストでは、以下の2つの観点でキャッチコピーを作成し、テストしました。
- ツールを使うことでユーザーにとってどんないいことがあるか(メリット)
- ツールを使うことで何がわかるか(機能・事実)
その結果、機能面にフォーカスしたキャッチコピーの方が、軒並み良い結果となりました。
これは、ツールを使うユーザーはある程度ツールを使うメリットは把握しているため、他のツールと違う部分が何かを判断しやすいように、機能面を強調したほうが効果が高かったと考えられます。
このように、ユーザーのタイプや属性によっても効果的なキャッチコピーは異なります。
特徴や事実から自分でメリットを判断したいというユーザーが多そうな場合は機能にフォーカスし、手っ取り早くメリットを知りたいというユーザーが多そうな場合はメリット面にフォーカスするのがいいでしょう。
まとめ
今回はひとつのA/Bテスト事例と、そのテストがどのような意図で行われているかという部分の詳細をご紹介しました。サイトのコンバージョン率を高めるために必須のA/Bテストですが、チームの意思決定スピードを早めるという観点でも非常に役に立ちます。
サイトの細かい部分で迷ったら、すぐにテストをしてみるというのもひとつの方法として使ってみてください。