【事例分析】月間100万PV超えのオウンドメディア「経営ハッカー」をコンテンツマーケティング戦略視点で調べてみた

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参考にしたいコンテンツマーケティング事例を紹介する<このコンテンツマーケティングがすごい>シリーズ第3弾は「クラウド会計ソフト freee」を提供するfreee株式会社のオウンドメディア「経営ハッカー」を取り上げます。

事業会社のオウンドメディアでありながら月間100万PVを突破している経営ハッカーの成功要因を探ります。

▼過去記事はこちら
・第1弾:公開から1年で40万UU!「ニキペディア」のコンテンツマーケティング戦略を徹底分析
・第2弾:EC×コンテンツマーケティング事例「石鹸百科」の堅実なオウンドメディア戦略を徹底分析

 

社長の個人ブログから始まったオウンドメディア

経営ハッカーサイトキャプチャ

経営ハッカー(http://keiei.freee.co.jp/

経営ハッカーは、freee社CEOの佐々木大輔氏が、会社設立時の自分たちの体験をブログで発信していたものが前身になっています。コンテンツが増えてきた段階でサイト名称を変更し、今のような形になったようです。

元々は代表の佐々木の個人ブログがきっかけでした。
会社を設立するにあたって「インターネットを活用して効率的にやりたい」と考えたものの、当時はそのための情報がほとんどなかったそうです。
(中略)
会社として「スモールビジネスに携わるすべての人が、創造的な活動にフォーカスできる時間を増やしたい」という理念があります。その上で、プロダクトだけでは賄えない部分の一部を、経営ハッカーを通して情報を発信していくことで補っている感覚です。
出典:freeeのオウンドメディア「経営ハッカー」が何よりも大事にしている考え方とは?

サイト開設のきっかけをみてみると、経営ハッカーはマーケティング上の目的達成のために生まれたメディアでは無いようです。しかしながら今、会計ソフトを提供する会社のオウンドメディアは複数あり、経営ハッカーはその走りとも言える存在になっています。

なぜ会計ソフトを提供する会社がオウンドメディアを運営するのか? 業界のマーケティング事情を少し考えてみます。

 

高騰するリスティング単価とオウンドメディアという手法

会計ソフト(クラウド型、パッケージ型問わず)の新規ユーザーを獲得するための施策として最も一般的なのは「クラウド会計」「会計ソフト」の関連キーワードでのリスティング出稿など、ニーズが高まった段階のユーザーを刈り取る施策でしょう。

しかしながら上述したようなキーワードは競合性が高くリスティングの出稿単価も高騰しています。

会計ソフト関連キーワードのリスティング出稿コスト ※Google提供のキーワードプランナーを用いて調査(調査日:2015年7月7日)

 

もちろん会計ソフトのようなスイッチコストが高い商材は顧客のLTVが高いため、出稿単価が高くても費用対効果が合う場合もあります。しかし、競合性が高まるほど出稿単価は上がるため、より資本力がある企業でなければ競争に負けてしまいます。

そういったコスト競争から抜け出すためのひとつの手法が、「まだニーズが高まっていない状態のユーザー」にもリーチできるオウンドメディアによるコンテンツマーケティングです。

競合がオウンドメディアに参入してきた経緯をみると、経営ハッカーは結果としてマーケティングにもかなり役立っているといえるのではないでしょうか。

 

経営ハッカーのメインユーザーとサービス利用までのカスタマージャーニー

経営ハッカーのメインターゲットはクラウド会計ソフト freeeを利用する可能性のある中小企業の経営者やフリーランス、個人事業主だと思われます。
簡易的にカスタマージャーニーを考えてみます。

簡易版カスタマージャーニー-経営ハッカー

そもそもクラウド型会計ソフトという選択肢を持っていない段階のユーザーにアプローチし、freeeの存在を認知してもらい、導入事例などでニーズを高め、無料のお試しに誘導するのが王道のコースになるでしょう。

 

関連性が高いストック型コンテンツがメイン

全体的には、中小企業の経営者やフリーランスの悩みを解決するようなストック型コンテンツが多くなっています。それ以外には、経理・財務にかぎらず一般的なビジネスのハウツーコンテンツがあります。

 

主な記事タイプ

①役立つ無料ガイド集
例)
■年末調整ガイド|年末調整に関する疑問すべて解決【永久保存版】
■青色申告ガイド|青色申告に関する疑問をすべて解決【永久保存版】

②給与・会計・経理・仕事の効率化・ビジネスハウツー
例)
■業務効率化のアイデア。経営者を本業に集中させるツール15選
■【最新版】請求書、見積書、納品書。ビジネス使えるクラウド作成ツール10選

③経営ハッカーインタビュー
例)
■竹中平蔵氏が解くテクノロジーでビジネスを効率化する未来「フラット化する世界から取り残された日本の運命とは!?」|後編
■「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の著者・山田真哉氏がグラビアアイドルに教えた自計化って?

④導入事例(
例)
■子育ての合間に確定申告を終えました
■資金繰りの把握がしやすく、経営の把握にも役立っています

経営ハッカーではなくメインサービスのfreeeのページに掲載されていますが、ユーザーの購買行動と関連するコンテンツであるためここで取り上げます。

コンテンツを①バイラル性②商品(ユーザー)との関連性③ストックorフローという3つの観点からマトリクスで表現すると下記のようになります。

※コンテンツの形式だけでなく、扱うテーマによってバイラル性の高低が決まるため一概には言えません。あくまで目安としてプロットしたものです。

コンテンツプロット図

比較的まんべんなくコンテンツがプロットされています。かなりバランスのいいコンテンツ構成になっているといえるでしょう。

強いていうなら、関連性が高く、バイラル性も高いコンテンツを追加していくことができればほぼ完璧な状態でしょうか。
たとえば、「(個人事業主のような働き方をしている)お笑い芸人の確定申告に密着!イチから手順を教えてみた」のような記事であれば、バイラル性も高く、サービス認知にも貢献するかもしれません。

また、簡易版カスタマージャーニーと照らしあわせてみると、「会計業務を効率化するツールがあることを認知したユーザーがクラウド型の会計ソフトを選ぶようにするためのコンテンツ」が少ないようです。

例)初めての会計ソフト。クラウド型とパッケージ型どっちがいいの?メリット・デメリットを解説

 

月間100万PVを支えるコンテンツの拡散方法は?

圧倒的に検索エンジン経由での流入が多いようです。
次に続くのがダイレクトの流入。信頼できる情報ソースとしてブックマークして利用しているユーザーも多そうです。

ソーシャルとリファラーの全体に対する割合がかなり少ないのはすこし意外ですね。

シミラーウェブ流入経路-経営ハッカー
※Searchと書かれているのが検索エンジンからの流入割合
※あくまでSimilarWebでの調査であり参考値です。(調査日:2015年7月7日)

 

上位表示状況を競合サイトと比較

もともとは自分たちが実際にやったことやWeb上に情報が少なくて困ったことを記事にしていたという経緯があるため、「同じようなことに困った人が検索し、経営ハッカーの記事に出会う」というのが一番多いコンテンツの露出方法だとは想像できます。

実際の上位表示状況も調べてみましょう。

▼調査対象サイト(ターゲットが近しいと思われるサイトをメインで抽出)

競合調査対象サイト

▼キーワード別上位表示状況
キーワード上位表示状況の競合比較

上位表示キーワード例
※自社開発のキーワード分析ツールを用いて分析。(調査日:2015年6月16日)

各キーワードでの上位表示の状況を競合と比較してみると、全体的に競合サイトよりも上位表示されていることがわかります。特に、検索ボリュームが大きくfreeeとの関連性も高い「青色申告」で5位、「個人事業主■確定申告」では3位、「確定申告」でも7位に上位表示されています。

 

保存系コンテンツがはてブを集め、リンク獲得→ドメイン強化につながっている

上位表示を支えているであろうリンク獲得状況も見てみましょう。

「所得控除要件まとめ」などのユーザーが保存しておきたくなるようなコンテンツは、ソーシャルブックマーク系サービスとの相性が良く、実際に多くのはてブを集めています。
多い記事では1,000以上のはてブがついています。

実際に経営ハッカーへの被リンクははてなブックマークからのものが多いです。

はてなブックマーク人気記事

基礎的な情報が網羅されている記事はまとめサイトなどにも引用されやすく、様々なサイトからのリンクを獲得することができています。

被リンク例
ASEを用いて調査。(調査日:2015年8月15日)

 

寄稿による外部サイトからの流入獲得も有効な手段

一つ一つの記事の質が高いことや、税金関連など多くのビジネスマンが興味を持つテーマを扱っていることを考えると、ターゲットが近しいメディアへの寄稿や記事配信によっても流入を増やすことができそうです。

 

ソーシャルメディアはメインサービスfreeeと共通アカウントを利用

ソーシャルメディアの中ではFacebookからの流入が一番多いようです。

シミラーウェブSNS別流入-経営ハッカー
※あくまでSimilarWebでの調査であり参考値です。(調査日:2015年7月7日)

Facebookページ、twitter、どちらも運営されていますが、メインサービスのfreeeと同一アカウントを使っているようです。

それ自体は全く問題ありませんが、もしソーシャル経由での流入を増やす意向がある場合、カスタマーサポート的なアカウントと情報発信用のアカウントを分けるのもアリかもしれません。
なぜなら、ソーシャルアカウントをフォローしているユーザーのニーズが異なるからです。

▼ユーザーのニーズ
・すでにfreeeを使っているユーザー→製品の更新情報や活用方法
・まだ使っていない潜在ユーザー→経理業務の効率化などのお役立ち情報

経営ハッカーに限らず、継続的に利用するようなサービスを扱っている会社がコンテンツマーケティングを行う場合、カスタマーサポート用と見込みユーザー向けの情報発信用でアカウントを分けるかはポイントになりそうです。

特にFacebookページは、ユーザーのアクションが発生しない投稿をしてしまうとエンゲージメントが下がり、リーチが減ってしまうので、ニーズごとにアカウントを分けた方がいいと考えられます。

 

まとめ

リスティングなどの競合性が高まりCPAが高騰していくなかで、ユーザーの悩みを解決する良質なコンテンツを豊富にストックし、主に検索からユーザーを獲得するモデルはコンテンツマーケティングの理想型のひとつです。
多くのWeb担当者の方にとって参考になるのではないでしょうか。

また、サービス利用者の増加だけでなく、「スモールビジネスに携わるすべての人が、創造的な活動にフォーカスできる時間を増やしたい」という思いをベースとして情報を発信している点も素晴らしいと感じました。
このような目的があるからこそ内容の濃い記事を継続的に発信できるのでしょう。

結果としてマーケティング戦略としても成功している「経営ハッカー」、常に注目していきたいオウンドメディアです。

※本稿の分析はウィルゲートの推測や主観に基づいたものであり、個別の見解は参考としてお読みください。

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