コンテンツマーケティング事例
【事例分析】6ヶ月で累計47万PVに成長!ネット保険最大手「ライフネット生命」のコンテンツマーケティング事例
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「保険料を半分にして、若い夫婦にも安心して赤ちゃんを産んでほしい」そんな想いで低価格の保険商品を提供するライフネット生命株式会社(以下:ライフネット生命)をご存知でしょうか?
インターネット販売など、従来とは異なる手法を活用し、保険料に含まれる経費を限りなく圧縮することで低価格を実現しています。

今回の記事で取り上げるのは、そんなライフネット生命が運営するオウンドメディア「ライフネットジャーナルオンライン」です。インターネットで販売するのは難しいと言われる保険業界において「ライフネットジャーナルオンライン」が戦略上果たす役割や現状などを分析していきます。

保険加入のニーズが生まれたときに「ライフネット生命」を思い出してもらえるように

サイトキャプチャ

「ライフネットジャーナルオンライン」の前身となったものは、2011年以来発行している「ライフネットジャーナル」という広報誌です。その広報誌を見た一部の契約者から「もっと手軽に読みたい」という声があがり、バラバラに発信されていた社長ブログやプレスリリースなども一元化し、誕生しました。

サイト立ち上げ当時のインタビューで、オウンドメディアの目的を以下のように語っています。

まずこのサイトの目的は、保険ニーズが顕在化した時に当社のことを一番初めに思い出して頂くきっかけ作りだと思っています。なので、まずはライフネットジャーナル オンラインを定期的に見て頂くという習慣をこの半年から一年程度で作っていくことが大事ですね。
ライフネット生命保険がオウンドメディアを立ち上げた理由とは | AdGang

では業界のマーケティング事情とライフネット生命独自のビジネスモデルを考えた際に「ライフネットジャーナルオンライン」が果たす役割は何なのでしょうか?

一般的な保険業界と対極に位置するライフネット生命のマーケティング戦略

保険商品の価格は純保険料と付加保険料の合計であり、前者が商品の原価、後者が経費にあたります。この経費の部分を徹底的に削っているところが、ライフネット生命が競合他社と異なる点のひとつです。

出口氏はこのモデルを「居酒屋のビールと缶ビール」に例えて解説しています。居酒屋のビールは店舗の家賃や人件費にあたる経費が上乗せされた価格で提供されるのに対し、缶ビールは経費の部分を限りなく削減し低価格で提供されています。ライフネット生命は、缶ビールのように経費を削ることで、若い世代でも入りやすい(他社の類似商品よりも)安い保険料を実現しているのです。

参考:中小企業の人事担当者に求める、これからの人材育成と採用のあり方~ライフネット生命・出口治明氏に聞く|@人事

もちろんこの経費の中にはマーケティング費用も含まれています。つまり、そもそものビジネスモデル上、多大なマーケティング費用をかけることができないのです。

それに対し一般的な保険業界のマーケティングは、従来のGNP(義理と人情とプレゼント)に加え、TVCMの利用など多額のマーケティング費用をかけることが主流になっています。

実際に業界におけるリスティング単価は高騰しており、資本力があり、マーケティングコストもかけられるビジネスモデルを持った企業の方が有利だと言えます。

保険系キーワードの想定CPC

※Google提供のキーワードプランナーを用いて調査(調査日:2015年9月7日)

このような状況を考えると、なるべくコストをかけずに潜在層を獲得する役割をライフネットジャーナルオンラインが担っているという見方ができます。

潜在層にリーチするという点ではオウンドメディア運営の成果も出ているようです。

6ヶ月やってみての累計ですが、PVは47万、UUは15万くらいですね。平均の滞在時間は月によって変動しますが、2分10秒くらいです。ありがたいことに、ちゃんと読んでいただいているということが見受けられるかと思います。
出典:Q.オウンドメディアの成功事例に共通項はある?→「あります」@はてな | CAREER HACK

ライフネット生命のメインユーザーとカスタマージャーニー

理念やIR資料からの推測ですが、ライフネット生命のメインユーザーは20代〜30代の子育て世代であることが予想されます。そのようなユーザーのカスタマージャーニーを考えてみます。

簡易版カスタマージャーニー_ライフネットジャーナル

各コンテンツからあまり積極的にサービスサイトへの導線を用意しておらず、商品の比較や見積もりのためのコンテンツは本サイトで展開しています。
基本的にニーズが顕在化しているユーザーの受け皿はライフネット生命の本サイトとなっており、あくまでも潜在層を狙っていると想定できます。

質の高いインタビュー記事で潜在層の獲得を狙う

ライフネットジャーナルオンラインを見てみると、インタビュー記事が多く、人気コンテンツとなっていることがわかります。

それでは具体的なコンテンツ構成がどうなっているのか見てみましょう。

主な記事タイプ

①インタビュー
例)
■エリート商社マンから迷わず落語家に転身。考えたのは「これをやらなかったら後悔する」だけ
■「フォトウェディング」、日本での可能性は──株式会社Famarry代表・藤井悠夏さん

②ハウツー
例)
■保険期間はどう選ぶ? 「定期型」と「終身型」の違いとその選び方
■生命保険は、いつ加入しても同じ?──保険料を抑えたいなら、若いうちがオススメ

③コラム
例)
■医師が教える、体幹を鍛える7つのメリット
■暑い季節は、オフィスでの【冷房病】に要注意!
※コラム記事は主に「健康」カテゴリに属するものが多いが、この部分は外部メディア(Doctors Me)から記事提供を受けている

④社員ブログ
例)
■私はお尻で医療保険の大切さを知りました
■初めてのネイルで広がる世界

コンテンツプロット図
コンテンツプロット図の見方はこちらの記事をご覧ください。

保険関連のハウツー系記事以外は、商品との関連性があまり高くないコンテンツが多いです。やはりコンバージョンよりも認知や信頼獲得を重視したコンテンツ構成といえるでしょう。

記事の内容はいつ読んでも普遍的な価値を持っているものがほとんどですが、特定のキーワードでの流入を狙っていそうなものは少ないです。「検索エンジンからの継続的なアクセス獲得」という切り口で考えると、フローの特性を持ったコンテンツが多いと考えられます。

もしコンテンツを増やしていくなら……

オウンドメディア運営の目的とコンテンツ構成が一致しているため、必ずしも記事バリエーションを増やす必要はありませんが、追加していくとしたらバイラル性、商品との関連性、ともに高いコンテンツでしょう。
過去話題になった以下の様な記事に定期的に取り組めば、認知拡大の効果は得られそうです。

ライフネット生命×Webクリエイター「CONTENTS BATTLE!」|ライフネット生命保険
@nifty:デイリーポータルZ:ハトが選んだ生命保険に入る

その他にも、コンテンツ量を増やす施策として、「健康」カテゴリにおけるDoctors Meのようにコンテンツ提携先を増やし、専門性の高い記事を、より高い更新頻度で配信するという手法も考えられます。

 

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マーケティング予算をかけないコンテンツの拡散方法

次に、コンテンツをどのように流通させているかを分析します。

SimilarWeb上では、およそ5割が検索エンジンからだと出ています。おそらく保険関連のキーワードで狙っているというよりは、仕事やお金など普遍的なテーマの記事に様々なキーワードで流入しているのではないでしょうか。

流入経路-シミラーウェブ※Searchと書かれているのが検索エンジンからの流入割合
※あくまでSimilarWebでの調査であり参考値です。(調査日:2015年9月2日)

SEO状況:実際にどんなキーワードを狙っているのか

競合他社と比較してみると、やはり「ライフネットジャーナルオンライン」に限って言えば、保険関連キーワードで上位表示しているわけではないようです。

▼調査対象サイト(ターゲットが近しいと思われるサイトをメインで抽出)
競合一覧-ライフネットジャーナル

▼キーワード別上位表示状況
上位表示状況比較※自社開発のキーワード分析ツールを用いて分析。(調査日:2015年8月6日)

コンテンツ分析の際にお伝えしたとおり、ライフネットジャーナルオンラインにおいては保険と関連性の高いコンテンツは少なく、関連性の高いキーワードは本体サイト( http://www.lifenet-seimei.co.jp/ )で取得していることがわかります。

ライフネットジャーナル-本体サイトとの順位比較
※自社開発のキーワード分析ツールを用いて分析。(調査日:2015年8月6日)

本体サイトは、検索ボリュームが大きく、お申込みに近いことが予想される「保険 見直し」「保険 相談」などのキーワードで上位表示を実現しています。

ソーシャルメディア活用状況

ソーシャルメディアはFacebookからの流入が8割近い数字になっています。

ソーシャル流入状況-シミラーウェブ

実際に4ケタ以上のいいね!を獲得しているコンテンツもあり、もっとも相性がいいようです。

Facebookいいね!※弊社独自ツールを用いて調査。Facebookで人気のコンテンツTOP20を抽出。

ライフネットジャーナル専用のソーシャルアカウントがあるとベター

Facebookページ、twitterアカウント、共に本体サイトの「ライフネット生命」と同一のアカウントとなっていますが、選択肢の一つとして2つのサイトのFacebookアカウントを切り分けて運用する方法も考えられます。

なぜなら2つのサイトを閲覧するユーザーのニーズが明確に異なるからです。

▼ユーザーのニーズ
・ライフネット生命(本体サイト)→具体的な保険商品の情報etc.
・ライフネットジャーナルオンライン→仕事やお金に関する情報、共同代表の書く記事etc.

一応Facebook/twitterとも、投稿の冒頭で何についての投稿かを伝える工夫をしているので、フォロワーも「自分に関係がある情報か」が判断しやすくなっています。

ライフネット生命のtwitterアカウント

しかしながらライフネットジャーナルの質の高い記事を読んで、「フォローしたいな」と思ってFacebookページを見たときに、商品のキャンペーン情報等が一番上にあったら、フォローを躊躇してしまう可能性もあると思います。

特にFacebookページの場合、ユーザーのアクションが発生しにくいコンテンツを投稿するとエンゲージメントが下がり、たとえフォローしてくれているユーザーであってもリーチしにくくなってしまいます。

潜在層へリーチするためには、ソーシャルメディアは非常に重要な拡散装置になるでしょう。より強化していくためには考えたい部分です。

外部メディアとの提携も有効な手段

現状、外部メディアからの流入のほとんどは本体サイトや共同代表が運営するブログからのようです。

ライフハックやインタビューは、多くの人が興味を持つような内容も多いため、外部メディアとの提携も有効な手段のように見受けられます。例えば、Smart NewsやGunosy、LINE NEWS等のニュースアプリとは、保険商品のターゲットが若年層であることを考えても相性が良いのではないでしょうか。

コンバージョンを狙えるコンテンツに継続的に流入を流し込む

以下の記事のような、最後に関連商品へのリンクが張られている「保険に関するノウハウ」記事に対してFacebook広告やコンテンツレコメンデーションなどを使って継続的にアクセスを流し込むことで、コンバージョンを増やすことができるかもしれません。

病気やケガが原因で長期療養状態に……減る収入と増える出費に備えるには? | ライフネットジャーナル オンライン

コンバージョンを狙っているメディアでは無いようなので、この方法はそぐわない部分があるかと思いますが、どれくらいコンバージョンにつながるかは試してみたいものです。

まとめ

保険をネットで販売するために必要なブランディングの役割、多額のコストをかけずに潜在顧客の獲得を目指すマーケティング上の役割、2つの側面から考えて、オウンドメディアとしての目的がしっかりと設定されている事例と言えるのではないでしょうか。

現在はオウンドメディアを戦略的に活用し、コンバージョンを増やすことを目指している会社も多いかと思います。もちろんそれは正しい手法のひとつです。
しかしながらライフネットジャーナルオンラインのように、社員ブログを内包し、企業の雰囲気を伝えたりする役割を担わせるのもオウンドメディアの良い活用方法だと思います。

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プロモニスタ編集部
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