ECサイトのコンテンツマーケティング事例「石鹸百科」の堅実なオウンドメディア戦略を徹底分析

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参考にしたいコンテンツマーケティング事例を紹介する<このコンテンツマーケティングがすごい>シリーズも第二弾となりました。

(第一弾はこちら:公開から1年で40万UU!「ニキペディア」のコンテンツマーケティング戦略を徹底分析

今回紹介するのは株式会社生活と科学社の運営するオウンドメディア「石鹸百科」です。

石鹸をはじめ単価の低い消費財を扱いながら、年商4億(※)をほこるEC×コンテンツであるメディアコマースの数少ない成功事例です。早速見ていきましょう。

※以下の記事を参照
お客様目線で運営していたらSEO的にも成功したネットショップ──石けん百貨

本当にいいものを消費者に届けたい!石けん百貨立ち上げの背景

石けん百貨と石鹸百科

今回の調査対象である「石鹸百科」はユーザーへの情報提供とともに、ECサイトである「石けん百貨」へ送客する役割も持っています。

この石けん百貨、今でこそ石けんから、衣類、寝具、布ナプキンと商品メニューは多岐にわたっていますが、創業の1991年当初は石けんを中心にわずか10商品ほどを扱うECサイトでした。

ここに創業者の思いがこめられています。創業当初から広告宣伝費に多額の投資をしているメーカーではなく、本当に消費者のことを考えて商品開発しているメーカーを支持し、人と環境に配慮できることが科学的に証明されている商品のみを扱うことを徹底してきました。

国内外のメーカーだけでなくオリジナル商品開発も力を入れ始めており、お客さんにもいい物を見極める目を持って欲しいという思いから情報サイトや掲示板、解説サイトを運営しています。石鹸百科の「運営会社ページ」にも企業としての姿勢が伺える一文が記載されています。

「限られた資源の有効利用と快適で便利な生活をいかに両立させていくか」という課題を追求する、株式会社 生活と科学社が運営しています。
石鹸百科内の運営会社ページより引用

商品点数10点程度から始まったこの石けん百貨ですが、今や6,000点の商品数、年商4億のサイトとなり、多くの消費者に愛されています。

生活と科学社がここまで来ることができたのには、業界的なマーケティング構造が関係してきます。

ブランディングが最重要だった?!業界のマーケティング事情

一般的に石けんなどのいわゆる消費財と言われる商品は、いかに流通を押さえるか(小売店の棚のいい場所においてもらえるか)が重要になります。
そのため、従来のマーケティングはブランディングが最優先事項で、知名度を高めて人気を獲得し、ドラッグストア等で見つけてもらう仕組みを作っていました。

それに対して、石けん百貨が扱っている「原料などにこだわっていて人や環境に優しいが、少々値が張るような商品」は対象となる顧客層が限られるため、大衆向けのマーケティングには不向きだと言えます。

そこで生活と科学社は主に検索エンジンからニッチなニーズを持ったユーザーをサイトに呼び込み、Web上で取引を完結させる戦略を採っているのです。

実際に、消費財メーカー大手のLION社が運営するオウンドメディア「Lidea」などはお役立ちコンテンツとともにおすすめ商品の紹介はしているものの、通販ページへの導線にはなっていません。そこからコマースにつなげるということよりもブランディングに主眼が置かれている様子が見受けられます。

石けん百貨のメインユーザーとカスタマージャーニー

そんな生活と科学社のメインターゲットは、会社の理念と親和性が高いような「生活に対してこだわりを持った女性」だと想定できます。

石鹸百科では、そういったユーザーをどのように顧客化しているのでしょうか?石鹸百科から商品の購買にいたるユーザーのカスタマージャーニーを次の3段階に分けて考えてみました。

簡易版カスタマージャーニー-石鹸百科

そもそも石けん百貨が取り扱っているような自然派の商品という選択肢を持っていない段階のユーザーにアプローチするコンテンツで認知を獲得し、各段階で抱く疑問点に対応するコンテンツを提供することで、最終的に購買に至ってもらうという流れが見えてきます。

ユーザー価値を追求した堅実なコンテンツ構成

サイト内には具体的にどのようなコンテンツがあるのかを分析していきます。

主な記事タイプ

「知識系コンテンツ」
素材に関することや、成分に関すること等、特定のモノに対する知識系のコンテンツ。

例)
知っておきたい石鹸生活の基礎知識
界面活性剤とは 作用と洗浄のメカニズム

「Q&Aコンテンツ」
日々のちょっとした疑問や、色々調べていくうちに気になること等をQ&A方式で紹介しているコンテンツ。

例)
固形石鹸を水で溶かせば液体石鹸になるの?
アルカリ洗濯だけでなく、時々は石鹸で洗ったほうがよいですか?

「ハウツー記事」
生活上の困り事を解決する方法や、毎日の暮らしをもっと便利にするハウツーが載っているコンテンツ。

例)
お風呂のカビ予防の方法について教えて!
油汚れもスッキリ!食器の上手な洗い方

コンテンツを①バイラル性②商品(ユーザー)との関連性③ストックorフローという3つの観点からマトリクスで表現すると下記のようになります。

コンテンツマトリクス-石鹸百科
※コンテンツの形式だけでなく、扱うテーマによってバイラル性の高低が決まるため一概には言えません。あくまで目安としてプロットしたものです。

図を見ていただければ分かる通り、石鹸百科は「商品との関連性が高く」「流行り廃りの無いストック型」ではあるが「バイラル性は低め」なコンテンツがほとんどです。

ニッチなニーズを持ったユーザーをピンポイントで獲得していくという戦略に合致したコンテンツ構成だと言えるでしょう。

もしコンテンツを増やしていくなら……

現状のコンテンツでも十分目的を達成しているかもしれませんが、石鹸百科がさらに認知を拡大していくとしたら、以下のようなコンテンツが考えられます。

・関連性も高く、バイラル性も高いストック型コンテンツを作成(コンテンツマトリクス図の右上)
例)「市販の洗剤VS自然派アルカリ洗剤。長年の汚れ悩みを解決した勝者は…?」

・関連性は低いが、バイラル性は高いストック型コンテンツを作成(コンテンツマトリクス図の左上)
例)「合計でもたった500円!百均アイテムで年末の大掃除を乗り切る方法」

作っただけでは意味がない!コンテンツの拡散方法

コンテンツの構成から、検索エンジン経由の流入が多いと予想される石鹸百科。SimilarWeb上では、およそ8割が検索エンジンからだと出ています。

流入経路-シミラーウェブ※Searchと書かれているのが検索エンジンからの流入割合
※あくまでSimilarWebでの調査であり参考値です。

SEO状況:実際にキーワードで上位表示されているのか?

石けん関連キーワードでの上位表示状況を競合他社と比較してみました。

▼調査対象サイト(ターゲットが近しいと思われるサイトをメインで抽出)
調査対象の競合サイト

▼キーワード別上位表示状況
キーワード別順位

「石鹸」「石鹸シャンプー」で2位を獲得するなど、押さえておきたいキーワードで見事に上位表示されているようです。その他「石鹸 食器洗い」のような情報収集を目的としたユーザーの検索キーワードでも上位を獲得しています。

キーワード上位表示状況-競合比較

自社開発のキーワード分析ツールを用いて分析。

競合と比較しても、比較的多くのキーワードで上位表示されているのがわかります。
しかしながらまだまだ100位以下のキーワードもあるので、伸びしろはあると言えるでしょう。

ソーシャルメディア活用状況

今回調査した限りでは、ソーシャルメディアを積極的に活用しているようには見えませんでした。事実、twitterのフォロワー数は1,385、Facebookページに関しては未開設です。

各記事のソーシャル上での拡散度合いを調べたところ以下のような結果になりました。

ソーシャルメディア別拡散状況※弊社独自ツールを用いて調査。ソーシャル別に人気コンテンツTOP20を抽出。

上位1~3位くらいは3ケタを超えるソーシャルアクションを獲得しているものもあり、一見成功しているように見えるかもしれません。しかしながら、これだけユーザーにとって有益な情報にフォーカスして発信しているBtoCのメディアであればもっと多くのシェアやいいね!を獲得していてもおかしくないように思います。

実際にFacebookいいね!のカウントの内訳を見てみると、いいね!やシェアとともに、コメントの数もある程度多いことがわかります(他のソーシャルアクションの多いコンテンツでも同様の傾向が見られました)。

環境への優しさや生活の知恵などは、特定層(子どもを持つ主婦など)の関心が高いトピックなので、ソーシャルメディア上でより高いエンゲージを獲得できる可能性も高いです。

シェアの内訳

例えば同じメディアコマースの「北欧、暮らしの道具店」のFacebookページなどは、1,000いいね!を超えるものも少なくありません。
例)北欧、暮らしの道具店のFacebookページ例

単純に比較できるものではありませんが、写真やタイトルを少し変えるだけでもこの数値は大きく変わるかもしれません。

SEOについてもソーシャルメディアについても、これからさらに伸ばすことはできそうです。

まとめ

ユーザーに本当に良い物を届けたいという思いで、確かな商品と良質なコンテンツを提供し続けている生活と科学社。
今後はソーシャルメディアの活用やターゲットが近しいメディアとの協力などでさらにアクセスを増やしていけるのではないでしょうか。

また、丁寧なハウツーや正しい知識の提供を主体としたコンテンツ構成は、多くの企業にとって比較的真似しやすいモデルかと思います。コンテンツといわれても何をすればいいのかわからないと悩んでいる方は、まずは自分たちの専門分野で一般ユーザーに知って欲しい知識などを発信してみてはいかがでしょうか。

※本稿の分析はウィルゲートの推測や主観に基づいたものであり、個別の見解は参考としてお読みください。

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髙橋 大希
入社初年度に2Q連続で営業MVPを獲得。2年目には月間個人実績1,000%達成。常にお客さまに最善の選択をしていただけるよう、徹底的な調査と分析に基づいた提案をすることがモットー。SEOは誤解の多い業界だからこそ、表面的なソリューション提供しかしない業者もいます。そんな業者に振り回されるクライアントを一社でも減らし、WinWinな関係を築くことがミッションです。