コンテンツマーケティング事例
拡散力No.1はタウンワーク?!アルバイト業界のオウンドメディア3つを徹底比較
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コンテンツマーケティングやオウンドメディアという言葉が頻繁に聞かれるようになり、当ブログ(プロモニスタ)でもいくつかのオウンドメディアを分析してきました。

今回は少し趣向を変えて、同じ業界のオウンドメディアを比較してみたいと思います。取り上げるのは、アルバイト業界の以下3サイトです。

  • タウンワークマガジン
  • バイトルマガジン
  • ジョブセンスリンクぷらす

Webマーケティングが盛んな人材業界におけるオウンドメディアの特徴と、コンテンツマーケティングの有効性を分析しました。

アルバイト業界におけるコンテンツマーケティングの狙い

求職者とマッチングさせることで価値を提供している求人系のメディア。ひとつひとつの求人情報自体は複数のアルバイトサイトに掲載されていることも多く、サービスの内容では差別化がしづらいという特徴があります。

ここで、アルバイトをするニーズを持ったユーザーの、応募までの段階を考えてみます。

コンテン図_1207_v2

まず一手段として、ニーズが顕在化した際に自社サイトを選んでもらえるよう、潜在層にもアプローチできるテレビCMなどのマス広告を活用しています(図の①)。アルバイト情報誌やサイトのCM、よく見ますよね。

同時にリスティングをはじめとするよりピンポイントなニーズが顕在化している層(図の③)を刈り取る広告やSEO対策に注力し、あらゆる段階のユーザーを取り込んでいると考えられます。

そこでどうしても手薄になりがちなのが刈り取りフェーズにまでいっていない顕在ユーザー(図の②)です。もともとWebマーケティングが盛んで図の③のようなコンバージョン率が高い顕在層の獲得競争が激しくなっている同業界では、図の②のような「顕在層ではあるもののまだニーズが明確でないユーザー」にアプローチする流れが生じてきています。

具体的な狙いとして下記の2つが考えられます。

完全にはニーズが確定していない顕在層の獲得

アルバイトを探している人のなかでも、「アルバイト(パート)することは決めているけれど、具体的にどのような仕事を探そうか検討している段階」のユーザーは、求人情報以外のコンテンツを用いて獲得していくのが有効と言えます。

最初から求人情報を見始める人もいますが、多くの場合一部の条件のみが決まっていて、その範囲内で色々な選択肢を選定する段階があります。たとえば「○月までに●円貯めるためにはどんな高給バイトがいいのか」や「子どもの小学校の時間帯だけ働くならどんな仕事があるか」などです。

このようなユーザーの疑問に答えるなら、コラムやアルバイト探しのノウハウなどのコンテンツが最適だと想定できます。

具体的なアルバイトニーズのない潜在ユーザーの認知獲得

タウンワークなどアルバイト業界の大手企業は、テレビCMなどマス広告を行っています。特にテレビCMでも「バイトするならタウンワーク!」など、自社の認知を目的としたCMが印象的です。
継続的に出稿されているところを考えると、認知獲得によるブランドキーワードでの流入増加などの一定の効果があると考えられます。

Webでも同様にユーザーのニーズが顕在化した際に自社サイトを思い出してもらえるよう、自社サイトをユーザーに認知してもらうことが大切です。
その点、直近でアルバイトをする予定が無くても見たくなるようなコンテンツを保有し、新規ユーザーを獲得したり、テレビCMなどで獲得した認知を強化していくことが有効だと考えられます。

調査対象サイト

■タウンワークマガジン 
リクルートが運営する「タウンワーク」のオウンドメディア。
アルバイトの探し方や応募方法/辞め方から、ライフ・エンタメに関する記事まで多岐にわたって掲載されています。

タウンワークマガジン
http://townwork.net/magazine/

■バイトルマガジン 
dip株式会社が運営する「バイトル」のオウンドメディアです。テレビCMではAKB48を起用し、直近では「ぱるる選抜」を募集するなど、話題の多いサイトです。
AKBに限らず、芸能人とのタイアップ企画が目立っています。

バイトルマガジン
http://www.baitoru.com/contents/

■ジョブセンスリンクぷらす
アルバイト業界に成果報酬型という新しいモデルで参入してきたリブセンスが運営する「ジョブセンス」のオウンドメディア。
実際にメディアの担当の方のおもしろ系の体験レポだったり、web漫画家さんの連載があったり、他の2つのサイトとは違った切り口の記事が多い印象です。

ジョブセンスリンクぷらす
http://job.j-sen.jp/magazine/

【比較】コンテンツの企画・生産力編

まずは継続的にコンテンツを配信していくために欠かせないコンテンツの企画力、生産力を比較します。
コンテンツ分析の結果は下記のようになっています。

ジョブセンスは300ページ程なのに対してバイトルは約4倍以上のページ数があります。
メディアによってコンテンツの量は大きく差が出ているのが分かります。

コンテンツの種類で比較すると、ハウツーやコラム記事、インタビュー記事はどのメディアも保有しています。アルバイト業界において、作りやすくユーザーのニーズも高い、押さえておきたいコンテンツなのでしょう。

コンテンツマーケ比較

※ページ数はコンテンツが含まれるディレクトリを「site:」検索した際の表示件数を記載。2015年11月15日に計測。

次に各メディアの特徴的なコンテンツです。

■タウンワークマガジン
激レアバイト 体験レポ
【激レアバイト 体験レポ】大人気アイドルグループ、でんぱ組.incのライブをステージから盛り上げる!│タウンワークマガジン

珍しい内容のバイトの体験レポートが約40記事ありました。
ライブをステージ場で踊って盛り上げるバイトや、野球のドラフト会議の会場運営のバイトなど、普段では体験できないような内容が取り上げられています。

■バイトルマガジン
スターアルバイト列伝
スターアルバイト烈伝 | アルバイト・バイト求人情報なら【バイトル】

芸能人のアルバイトのエピソード記事が約100ページありました。
お笑い芸人からアーティストまで様々な方のインタビューが掲載されています。

■ジョブセンスリンクぷらす
経営者インタビュー「ビジョナリー」
【ビジョナリー】 Sansan株式会社 寺田親弘氏 「世界を変える、新たな価値を生み出す」 – ジョブセンスリンクぷらす

経営者の方へのインタビューコンテンツがあります。ジョブセンスリンクぷらすとは別の、「ビジョナリー」への誘導記事となっています。

バイトルやジョブセンスは「働く人」に焦点を当てた記事が、タウンワークは「激レアバイト」と仕事自体に焦点を当てた記事が目立っていました。
メインのコンテンツはハウツー系など共通していましたが、各メディアで切り口の違う記事が掲載されているようです。

コンテンツの性質をプロットすると、3つのメディアとも履歴書の書き方や面接時のノウハウといったストック系のコンテンツを保有していることがわかります。
また、芸能人や経営者など、インタビュー記事でバイラル性を狙っている印象でした。

【比較】コンテンツの拡散力

次にコンテンツの拡散力を比較していきます。

ソーシャルメディアを使った拡散

ソーシャル拡散力比較

※弊社のコンテンツ分析ツールを用いて作成。2015年11月15日時点の数値を抽出

ソーシャルメディアでの拡散はタウンワークが突出していました。

各メディアでソーシャルシェアが多く生まれている記事を紹介します。

■タウンワークマガジン
いいね!されたTOP20記事のうち7記事が食べ物(レシピ込)に関するコンテンツでした。
アルバイトとの関連性は低いですが、バイラル性が高い記事を中心にSNSで拡散されているようです。

例)
フライパンでできる!フランス菓子「タルトタタン」の超カンタンレシピ
フォロワー22万超の「シェフの簡単レシピ」がオススメする、140文字のひき肉レシピ

■バイトルマガジン
AKBなど芸能人やNARUTOなどアニメとの期間限定コラボ企画がTwitterを中心に拡散されていました。

例)
バイトル×NARUTO コラボ企画|ナルトの影分身のバイト募集中?!
≪バイトル×AKB48特別企画≫2015年新しいお仕事を探そう!AKB48おみくじ

■ジョブセンスリンクぷらす
ジョブセンスリンクぷらすのスタッフの方が密着取材したり、体当たりの取材記事が目立っていました。

例)
【スズキタク】YouTuberの稼ぎとか私生活とかやたら謎多いから密着取材してみた
推定4800kcal!!1日3食ラーメン二郎を食べた時のカロリーをその日のうちに消費してみた

はてなブックマークを使った拡散

はてなブックマークもタウンワークマガジンがかなり力を入れているようです。
タウンワークマガジンでは一番多い記事は500以上のブックマークがついていました。一方で、ジョブセンスで最も多くブックマークを獲得している記事のブックマーク数は200、バイトルは最も多くブックマークされていた数が2と、タウンワークマガジンに大差がついていました。

そもそも、バイトルには、はてなブックマークのボタンがないなど、各メディアで力の入れ具合に大きく差が表れていました。

検索エンジン集客力分析

「アルバイト」や「短期バイト」など推定月間検索回数が多い25キーワードを主軸キーワードとし、そのサジェストキーワード、関連語を含む全1,243キーワードでの上位表示状況を調査しました。
結果、上位表示状況では、タウンワーク、バイトルが上位表示率が高いという結果となりました。

タウンワークとバイトルは1,243キーワードに対し、60%近く10位以内(=1ページ目)に表示されていました。今回の調査キーワードについて言えば、ジョブセンスはまだ上位表示ができていないようです。

SEO上位表示状況比較

※弊社のSEO分析ツールを用いて、2015年11月11日時点の順位を抽出して作成。

■タウンワークの上位表示状況

ビッグキーワード(=検索回数が多いキーワード)やロングテールキーワード(地域名との掛けあわせなど)は他の2サイトと比べて上位表示ができています。

バイトルと比べると「バイト ばっくれる」、「バイト だるい」、「バイト 不採用」、「バイト 受からない」といった悩み系・ハウツーコンテンツでの上位表示ができていませんでした。キーワードに対応するコンテンツがないことが要因のようなので、注力していないということでしょう。

■バイトルの上位表示状況

ビッグキーワード(=検索回数が多いキーワード)やロングテールキーワード(条件掛けあわせ、エリア掛けあわせなど)ともに比較的順位取得ができており、上位表示できているキーワードもタウンワークに次いで多い状況です。

他サイトと比較して特徴的なのは「ハローワーク求人×エリア」やライバル会社サイト名でも比較的順位を獲得しています。 http://www.baitoru.com/kw/ の様に大量のページがあり、インデックスさせていることが要因として挙げられます。

■ジョブセンスの上位表示状況

「バイト」「アルバイト」の掛けあわせキーワードでは順位が取れていますが、「短期バイト」や「求人」、「派遣」といった掛け合わせキーワードでは10位以内を取れていないようです。また、「バイト」「アルバイト」の掛けあわせキーワードにおいても5位以内のキーワードはほとんどない状態です。

ナチュラルリンクの獲得状況

検索エンジン集客力にも大きく関連する「被リンク」を分析してみます。

被リンク獲得状況比較

ASEを用いて作成。2015年11月15日時点のデータを抽出。

各サイトの特徴的なリンク獲得状況を以下にまとめました。

■タウンワークマガジンのリンク獲得状況

他の2つのメディアとは異なり、タウンワークは提携メディアの記事も掲載しています。記事を掲載している関連サイトにタウンワークへの導線を設置しリンクを獲得している点は、他のメディアと比べて特徴的なリンク獲得方法でした。

日本酒嫌いもナットク? いま話題の『低アルコール日本酒』
被リンク獲得の例

■バイトルマガジンのリンク獲得状況

Dipjob はたらこねっとといったグループサイトからのリンクが被リンクの中でも多くを占めていました。また、芸能人とのタイアップコンテンツが多いため、それらがNaverまとめにまとめられてリンクを獲得しているようです。

■ジョブセンスリンクぷらすのリンク獲得状況

ジョブセンスは連載コンテンツを書いてくれるライターや漫画家を集めており、連載コンテンツは全てはてなブックマークで公開されるようになっています。こうしたはてなブックマークからのリンク獲得が特徴です。

メディア提携の有無

メディア提携の状況は目視で確認する限り、下記の様になっています。タウンワークは確認できましたが、他の2つのメディアでは提携が確認できませんでした。

提携メディア一覧
※コンテンツタイトルの検索結果、およびASEの被リンクを筆者が目視で確認して抽出。

タウンワークで最もSNSで拡散されている記事は、提携メディア「ガジェット通信」との共同作成記事となっており、ガジェット通信にも掲載がありました。
メディアと提携し、記事を共同作成することで、他のメディアに比べて記事の更新頻度を上げられていると考えます。

まとめ:アルバイト業界がコンテンツマーケティングで見込み顧客を獲得していくために

アルバイト業界の3メディアを様々なポイントで比較してみましたが、総じて基本的なノウハウ系のストックコンテンツを押さえつつ、それぞれのメディアの特色を出す記事が追加されているように見受けられました。
アルバイトとの直接的な関係が薄くバイラル系の色が強いコンテンツも多く、その目的が認知獲得なのか、リンクビルディングなのかは企業の中に入らなければわからない部分ですが、各社コンテンツ制作に力を入れていることがわかります。

それに対してコンテンツの拡散部分については、各社の取り組みにばらつきが見られました。ソーシャルにも強く、メディア提携もしているタウンワークマガジンが頭ひとつ抜けている印象です。コンテンツの強みに合わせた拡散方法を模索している部分もあると思うので、今後拡散方法はさらに各メディアごとに洗練されていく段階なのかもしれません。

今後コンテンツマーケティングの競争が激化すると考えられるような業界にとって、参考になる部分も多いでしょう。

アルバイト業界のコンテンツマーケティング、次なる一手は……?

アルバイト業界のオウンドメディアは潜在ユーザー層を囲っていく上でポイントがあると考えられます。それが、ターゲットを細分化したメディアの運営です。

大手企業の運営するオウンドメディアは、あらゆるユーザーの検索ニーズに応えられるよう各キーワードに対するコンテンツを保有しています。また、各キーワードで上位表示を実現させており、新規で上位表示を狙っていくことは容易ではありません。

そのため検索エンジン経由以外で、自社サイトのファンを育てていくことが有効なのではないでしょうか。

最近、アルバイト業界では新しいタイプのオウンドメディアが出てきました。

JKが発信するJKのためのWEBマガジン『エマリー』

エマリーは、恋愛やビューティーといった女子高校生向けのメディアでありながら、バイトのバイトを選ぶ基準やバイトの体験レポートといったコンテンツが掲載されています。

JKという切り口以外にも、パートを探すような主婦向けや、美容系のアルバイトを探すような層をターゲットに絞ったメディアなども考えられます。

ターゲットを絞ったオウンドメディアを運営し、サイトのファンとなるユーザーを育てていく施策がどのように展開されていくのか、今後の動向に注目です。

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プロモニスタ編集部
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