コンテンツマーケティングの流行とともに再び注目を浴びている「オウンドメディア」。コーポレートサイトなどとは別にメディアを立ち上げたいというご相談をいただくことも増えています。
情報を継続的に発信するためにオウンドメディアを持つことは、全く間違ったことではありません。
しかしながら、新たにメディアを運営するとなると、全く経験のない編集業務や外部ライターのディレクションが必要になり、想像以上に苦労することが多いのも事実です。
そこで考えたいのが、オウンドメディアを開設しなくてもできるコンテンツ強化の手法です。オウンドメディアやブログだけがコンテンツマーケティングの手法ではありません。
今回はそんな「オウンドメディア開設よりもハードルが低い」コンテンツマーケティングの手法をご紹介します。
※オウンドメディアは広義では「自分たちが所有しているメディア」という意味ですが、本稿では一般的に使われている「企業が所有する、コーポレートサイトなどとは別にユーザー目線のコンテンツを継続的に発信しているメディア」という意味で使用しています。
目次
1.ECならまずここから!商品詳細ページの充実
実際の商品を手にとって見ることができないのはECサイトで商品を購入する上で最もネックになるポイントのひとつです。
実際に「いいな」と思う商品を見つけても、実際に使ってる場面が具体的にイメージできなかったり、サイズ感がわからなかったりして結局買わなかったという経験は誰にでもあるのではないでしょうか?
そこで有効なのは、ユーザーが知りたいことに応えられるような商品詳細ページの作り込みです。商品自体の写真だけでなく、人が使っている場面の写真を盛り込んだり、商品レビュー並みの説明を加える事で、ユーザーの購買を後押しできます。
事例1:北欧、暮らしの道具店
特徴的な商品詳細ページがおなじみの「北欧、暮らしの道具店」。
北欧雑貨のある暮らしを具体的に想像ができるような丁寧な説明が商品ごとにつけられています。
DANSK/ダンスク/バブルコンフェティ/ミニフルーツボウル – 北欧雑貨と北欧食器の通販サイト| 北欧、暮らしの道具店
事例2:ドン・キホーテ
店舗のごちゃごちゃ感をサイト上でも演出しているドン・キホーテのECサイト。じつは商品詳細ページが充実しています。
店頭で選んでいるような感覚になれる一覧性の高い画像を使うことでユーザーの体験を高めることができそうです。
2.認知獲得!SNS、他社プラットフォームを活用
写真や動画などソーシャルメディアに適したコンテンツで自社の商品やサービスをアピールできる場合、まずはそれぞれのソーシャルメディア運用によってファンを獲得していくのも有効です。
事例1:SNSを活用する土屋鞄製造所
ソーシャルメディアを活用してファンを増やしている土屋鞄製造所。
商品ページヘのリンク付きの投稿だけではなく、自社の世界観を伝える動画や画像を投稿することで共感を集めています。
商品やブランドの価値を高めるために、それぞれのプラットフォームを有効に活用しています。
▼ソーシャルメディア上で話題になった土屋鞄製造所の動画
tsuchiya-kaban 【life】
▼リンク誘導なし、商品との関連性の薄いFacebook投稿にも多くのいいね!が集まる
土屋鞄製造所はFacebookページヘのいいね!が28万、インスタグラムのフォロワーが15万と、メーカーとしてはかなり多い数値となっています。
土屋鞄製造所は自社ブログも運営していますが、記事数は多くなく、お知らせのような内容が中心になっているので、そこまで注力していないように見受けられます。
たくさんの記事を作らなくても、ソーシャルメディアを活用した見せ方を工夫することで、自社の認知向上の効果を得られるでしょう。
事例2:他社のプラットフォームでコンテンツを発信することで拡散力アップ
すでにコンテンツを拡散させる経路を持っているプラットフォームを使うことで、自分たちで一からメディアを育てなくても多くの人に見てもらうことができます。
弊社が運営する主婦向けメディア「暮らしニスタ」では、無料(※一定の条件あり)で企業アカウントを開設できます。そこで企業が発信したコンテンツが、ニュースキュレーションメディアに取り上げられたり、ソーシャルメディアに拡散されたりすると、一気に閲覧数が伸びます。
▼企業アカウントが作成したコンテンツが72,140PVを獲得
▼ニュースキュレーションメディア「Antenna(アンテナ)」に取り上げられる(※)
例えば全く同じコンテンツであっても、固定読者もいない、外部メディアとの提携もしていないような立ち上げたばかりのオウンドメディアのみで発信していたらこのような結果にはならなかった可能性が高いです。
もし自分たちの世界観に近いメディアで情報発信できる場があるなら積極的に活用していきましょう。より多くの人にコンテンツを見てもらうことで、より効率的に認知を広げることができます。
※暮らしニスタ編集部がユーザーにとってより価値が高いと思われる記事を選定し、提携メディアに配信しています。PR記事など、有料で作成した記事は提携メディアへの配信は行いません。
3.編集の要らない用語集系コンテンツで着実にアクセスを増やす
用語集のようなコンテンツは企画力や編集力があまり必要とされない、作りやすいコンテンツだと言えます。
また、用語の意味を調べる「○○とは」検索はよく行われるのでユーザーニーズもあると考えられます。
そのアクセスが即売上につながることは少ないかもしれませんが、十分な解説を提供することでメルマガ登録などのライトなコンバージョンであれば獲得できる可能性もあります。
事例:病院検索サイト
例えば以下の記事でご紹介している事例では、「胃下垂」や「アルコール依存症」のような病名に関するコンテンツを追加することで検索エンジンからの流入を大幅に増やすことができました。
コンテンツ追加によってページビュー数が4.5倍になった事例
▼追加したコンテンツのイメージ
すでにSEOが盛んで競争が激化している業界では、普通の用語集を追加しても効果は薄いかもしれませんが、業界の競争状況やネット活用状況、ユーザーの検索ニーズによっては現状でも効果を実感できるでしょう。
4.特定ページの検索流入を強化するためのテキスト追加
これはコンテンツマーケティングというよりSEOの手法になってしまいますが、コンテンツを強化してサイトの成果を高める1手法としてここでご紹介します。
コンテンツを追加して新規ユーザーを集めたいなら、すでにあるページのコンテンツを強化することで上位表示させるのもひとつの手段だからです。
特にポータル系サイトの検索結果画面などでよく見られる一覧ページは、オリジナルのテキストが少なく検索エンジンに評価されにくいという特徴があります。
そういったページにオリジナルテキストを追加することで、ユーザーにサイトを見つけてもらえる可能性が高まります。
事例:不動産系ポータル
「地域名×条件」などで無数の一覧ページが生成される不動産系ポータルサイトは、この手法が多用されています。
以下の事例は「渋谷 賃貸」で検索した際に1ページ目に表示されている「SUUMO」の一覧ページです。
【SUUMO】渋谷駅の賃貸(賃貸マンション・アパート)住宅のお部屋探し物件情報(東京都)
▼サイト上部に地域名に関するテキスト
▼サイト下部に地域に対する口コミ
このようにオリジナルテキストを追加することで上位表示されやすくなります。地域に対する口コミなどはオリジナル性も高く、ユーザーがつい見たくなってしまう良いコンテンツになっています。
まとめ:コンテンツマーケティングはできるところから始めよう
今回はオウンドメディアの立ち上げ以外のコンテンツマーケティング手法を4つご紹介しました。
コンテンツマーケティングに取り組みたいとなると、どうしても「自社で更新性の高いメディアを新たに立ち上げよう」という話になりがちです。
しかしながら、すでにあるサイトのコンテンツを充実させたり、ソーシャルメディアなどのプラットフォームを活用することでオウンドメディアを立ち上げなくても目的を達成できる可能性もあります。
運用に割けるリソースがほとんど無いなかで続けていくのはかなり大変なことです。コンテンツマーケティングを実施する目的を考えた上で、ご紹介したような手法も選択肢のひとつに加えていただければと思います。