マーケティング
これで導入時の失敗なし!MA(マーケティングオートメーション)のシナリオ設計に使えるフレームワーク3選
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数年前から日本でも話題になることが増えたMA(マーケティングオートメーション)。MAツールを導入している、導入を絶賛検討中という方も非常に多いと思います。マーケターにとっては、ワクワクしかしないツールですよね。

私たちもMAツールを導入し運用していますが、まわりから聞こえてくるのは「導入したはいいものの、全く有効活用できていない」「自分だけが使っていて、営業活動などには生かせていなくて意味が無い」なんて声が多かったりします。

確かにできることが多すぎるMAツールは、導入時のシナリオ設計でつまづいてしまうと、簡単に“使いこなせないツール”になってしまうんですよね。私たちも導入当初から現在進行形で苦労しています。

しかし!このシナリオ設計を格段に考えやすくし、運用にのる確率を高めてくれるフレームワークがあるそうなのです。
そこで今回は、MAシナリオ設計のフレームワークを「B→Dash」というマーケティングオートメーションプラットフォームを提供している、フロムスクラッチさんに教えてもらいました。

フレームワークを教えてもらうなかで「それ最初に言ってくれればこんな失敗しなかったのに~」な私たちの失敗エピソードがたくさん出てきたので、そちらも合わせてご紹介したいと思います。

MAツール導入に立ちはだかる「壁」

フレームワークをご紹介する前に、まずはMAツールで何ができるのかを簡単に振り返りたいと思います。
そしてなぜ多くの企業がMAの導入で失敗してしまうのかも考えてみましょう。

MAツールで何ができるのか?

MAのポイントとして重要なのは、

  • 今まで見えてこなかった一人ひとりの顧客の行動が一元管理できる
  • それらの情報をもとに施策を展開することで今までもれていた潜在顧客にアプローチできる
  • 一連の膨大な手間がかかる作業を自動化できる

などでしょうか。
人力で管理しきれない部分をかなり広い範囲で補うことができ、マーケティング効率を高めてくれます。しかし、この「自動化」という甘い言葉に踊らされてしまうとその先に待つのは悲劇なのです。

 

MAツールは“自動”では動き出さない

「これは色んな事ができる!」「自動化できれば、“作業”ではなくもっと重要なことに時間を使える!」と勇んでMAツールを導入したとしましょう。

しかし、企業が今まで持っていた顧客情報をMAツールに同期しても、平たく言えば「何も起こりません」。

ツールが勝手に自社のビジネスモデルを理解して顧客ごとにスコアリング(顧客の属性や行動を点数化し、点数に応じたアクションを設定すること)をしてくれたら楽なのですが、実際にそこを考えるのは導入する担当者の仕事。

どのような顧客情報に対してスコアをつけていくか、どの顧客行動のスコアを高く設定するのか、潜在顧客を顕在化させるためにどうアプローチするか、これらのシナリオを考えて設計しないことには、MAツールの効果は得られないのです。

そしてここに大きな壁が存在します。
まずは仮説を立てて回し始めてしまえば、あとはデータを見て改善していくだけなのですが、そもそもその最初の仮説立てが難しい。

大抵の企業では前例がないために何が正解かわからず、いつまでもシナリオ設計ができないという事態が起こります。そして何もできないうちに毎月のツール代だけがかさんでいき、「失敗だ…こんなはずではなかったのに・・・」となってしまうのです。

もちろん、運用に乗り始めればMAツールはとても便利な存在となり、マーケターの世界を大きく広げてくれます。だからこそ、「導入の時点でつまづかないためのフレームワーク」を活用していきましょう。

 

フレームワーク①MA全体のシナリオ設計は「4S」

最初のフレームワークは「4S」。MAツール導入時の設計をもっともシンプルな4つのポイントに絞ってフレームワーク化したものです。

  1. Star target
  2. Scoring on hotlead
  3. Small campaign
  4. Special content

シナリオ設計フレームワーク4S_B-dash

以下でそれぞれのポイントについて解説します。

 

1.Star target:重要・重点顧客にターゲットを絞れ!

最初のポイントはターゲット設定。思い切って「Star target=ロイヤルカスタマー」にターゲットを絞り込むことが重要であることを意味しています。

様々な顧客情報を管理できるため、MAツールの設計では、ついついターゲットを細かく分類し、それぞれに対するシナリオを設計しようとしてしまいがち。しかしそれは非常に難易度が高い上に、膨大な時間がかかります。

Star target_B-dash

それを防ぐために、「B→Dash」の導入コンサルティングでは、まずは自社がもっとも重点を置くべきStar targetを導き出し、そのターゲットを潜在顧客から顕在顧客化することに注力します。

そして最初のStar targetに対する全体のシナリオが完成し軌道に乗ってきてから次のターゲットを選定し設計…、そのサイクルを繰り返していくことで、最終的により多くのターゲットに対して適切なシナリオが描けるようになっていくのです。

startarget2_B-dash

ターゲットを設定し、具体的なシナリオ作りをするときは、以下のペルソナ設定の記事が役に立ちます。

 

2.Scoring on hotlead:ホットリードの定義を明確にした後、スコアリングの粒度を決めよ!

次はMAツールの特徴的な機能のひとつである「スコアリング」についてです。

多くのMAツールは、自社サイトへの訪問やメルマガの開封などのユーザー行動、さらに役職などのユーザー属性情報に対しても「スコア」をつけていくことができます。
そのスコアが積み重なることで潜在顧客が顕在化=ホットリード化したと判断できるのですが、このスコアリングがなかなか実態と合わないことは多いです。

スコアリング設計_B-dash

そこで重要になるのが、「ホットリード」の定義を明確にすること。どんなリードが“熱い”のかは、各社の商材や組織体制によって変わります。どんな行動が、もしくはどんな要素が実際の取引につながりやすいのかをよく理解して設計しなければ、意味のあるスコアリングはできません。

ホットリードの定義の違い_B-dash

ここは実際に営業活動をするセールス部門との連携が必須になるでしょう。その点、フロムスクラッチさんでは自社の営業活動にも「B→Dash」を使っており、営業視点でのスコアリング設計も得意としています。各社の社内体制や営業力までヒアリングし、適切なホットリードを定義していくので、営業が実際に“アツい”と感じるホットリードを生み出します。

また、すでにマーケティング部門とセールス部門の連携で悩みを抱えているという方は、以下の記事を読んでみてください。私たちが実際に取り組んでいることを紹介しています。

《プロモニスタの失敗談》
「スコアリングと言われても、何点になればホットリードなのかもわからなければ、それぞれ何点つければいいのかわからない!」ということで、施策ごとにとりあえずのスコアをつけて運用を始めました。
にも関わらずスコアリングの結果をアプローチの第一優先にしてしまい、とりあえずスコアをつけることに着目しすぎて、営業のターゲット像にマッチしないものになっていました。
そうして起こったのが、「ホットリードとして営業に渡したものの3割以上が営業対象にすらならない」という事態。自社の商材の価格帯だと採算が合いにくい業態や、地方で訪問ができないなど、営業にとって“優先度が低い”リードが多くなってしまっていました。本来実施すべきだったのは、“営業のターゲットリストに対して”スコアの動きを見ていくこと。それなのに私たちは保有しているハウスリスト全てにがむしゃらにスコアリング……。そこからより営業の判断基準に合ったターゲット設定、スコアリング設計をやりなおし、営業にとっての“案件の熱さ”をスコアリングに反映するようにしました。
ターゲットが絞り込めていない&それに伴ってスコアリング設計が実態と合わなくなってしまった、典型的な「マーケティング部門だけで考えて失敗した」パターンです。

 

Small campaign:小さく生んで、大きく育め!

3つ目はキャンペーンについて。MAをすでに導入している方でないとイメージがつきにくい用語かもしれませんが、「ユーザーの購買意欲を高めるための一連のアプローチ」であり、「どのようなタイミングで、どのようなコンテンツを届けるか」の設計という風に理解すれば大きく外れることはないと思います。

スコアリングをしていればホットリードがどんどん集まってくるというわけではないので、キャンペーンを実施してユーザーの購買意欲を高め、ホットリード化を促す必要があります。

ここまでフレームワークに沿って考えているとすると、ターゲットは絞りこまれているはず。そのターゲットが反応するようなコンテンツを適切なタイミングで提供できればいいのですが、ここで工夫しすぎてしまうのも失敗要因のひとつです。

「一人ひとりのデータが見える化されているのだから、行動一つ一つに合わせて細かく対応したい!」と考えてしまう人が多いのですが、実際にそれを設計するのは難しい上に、かなりたくさんのコンテンツが必要になります。

キャンペーン設計についても、気負いすぎずやりやすいものから取り組むのが成功のカギ。そのために知っておきたいフレームワークが、キャンペーン設計の3モデルです。

フレームワーク②キャンペーン設計の3モデル

一口にキャンペーン設計と言っても、そのモデルは大きく3つに分かれます。

  1. Retention Model リテンションモデル
  2. Trigger Model トリガーモデル
  3. Concierge Model コンシェルジェモデル

Retention Model リテンションモデル

ユーザーの属性・行動別に、継続して特定コンテンツを配信・供給していくことで、ユーザーとの顧客接点を持ち続けるモデルです。具体的にはセール情報や新商品情報の定期配信が挙げられます。コンテンツの内容ももっとも作りやすく、継続しやすいモデルです。

Trigger Model トリガーモデル

複雑なスコアリングの設定はせず、特定のユーザー行動(=トリガー)ごとに次のステージへと移行させるモデルです。具体的には、Webページを1週間以内に5回以上見たら商品の割引情報を送る、メルマガを開封しURLをクリックしたユーザーにセミナー案内メールを送るなどのパターンが考えられます。

リテンションモデルよりは設計やコンテンツ内容を作りこむ必要がありますが、そこまで複雑ではありません。シンプルに「特定の行動を起こしたら刈り取る」ことを続けていくモデルです。

Concierge Model コンシェルジェモデル

ユーザーの属性・行動ごとに細かくスコアリングし、その内容に合わせて情報提供・営業活動を行うモデル。具体的には「メールを開封(3点)し、URLをクリックしてHPへ流入(3点)し、2分以上滞在(8点)、料金ページを見たら(6点)、特定のコンテンツを提供する」など明らかに複雑です。

いわゆるOne to One マーケティングに近いモデルで、上記の具体例のどこかのポイントで違う行動をとったユーザーには違うコンテンツを提供するなど、分岐も複雑で提供コンテンツや行うべき営業活動も様々になります。前述の2つと比較すると圧倒的に難易度が高いです。

最初に取り組むべきモデルは

MAツールで実現すべき理想は「コンシェルジェモデル」ですが、最初から取り組むべきではありません。

上記3つのモデルのなかで、フロムスクラッチさんが「B→Dash」を導入した企業に最初にすすめているのが「リテンションモデル」です。まずは「リテンションモデル」から始めて、ターゲットの反応を観察。その結果をもとに「トリガーモデル」を設計し、ユーザーの行動や営業にリード提供した後の成果を見て改善、スコアリング精度が洗練されてきてやっと「コンシェルジェモデル」に取り組み始めるくらいでちょうどいいのです。

MAキャンペーン設計におけるフレームワーク_B-dash

《プロモニスタの失敗談》
わたしたちはMAツールを導入した際、張り切って“コンシェルジェモデル”でスコアリングや、メール配信をしていました。
しかし一度設定して満足して、最終ポイントに到達した人のみにしか目がいっておらず最終ポイントに到達する人をただ待っているような状態でした。そうして起こったのが、「最終ポイントまで到達しなかったリードのフォローが手薄になる」という事態です。圧倒的に、最終ポイントまで達する人よりも、途中で止まってしまう人の方が多いのにもかかわらず、検証段階の設定でありながら、設定したことに満足してしまっていました。
そのミスに気付いた今では、途中で落ちたリードに対してのフォローにも注力しています。

 

Special content:ユーザー立脚で反応率にこだわれ!

最後はコンテンツです。
MAのシナリオ設計をしていて気付くこと、それは「コンテンツが無いと何もできなくない?」ということです。

もともとブログをやっていたり、事例を資料としてまとめている場合はまだいいのですが、そういった資産の蓄積が一切無い場合自分たちで一から作らなくてはなりません。
ここでコンテンツ制作の知見がない場合、「ユーザーが面白いと思うコンテンツ」ではなく、「自分たちが言いたいことを言うコンテンツ」を作ってしまいがちです。

キャンペーンを実施しユーザーの購買意欲を高めるために必要なのは、宣伝ではなく役に立つ情報です。ユーザー心理を的確に理解し、どのような行動変容を起こしたいのかを明確にしたうえで作ったコンテンツでなければ、成果を上げることはできません。

ユーザー視点を欠いた、訴求点がぼやけたコンテンツを作ってしまわないようにするために、フロムスクラッチさんが100社以上のコンテンツ制作を手がけてきた経験から導き出したフレームワーク「essence」が有効です。反応を得やすいコンテンツの特徴が、7つのキーワードに凝縮されています。

フレームワーク③成果に繋がるコンテンツ設計「essence(エッセンス)」

最初からユーザーにとって価値があり、自社の成果にも繋がるようなコンテンツをどんどん考えられればいいのですが、コンテンツ企画や編集をやったことがない人にとってはそう簡単にはいきません。
そんなときに使えるのが、コンテンツ設計のフレームワーク「essence」です。

  1. example:成功事例や失敗事例等
  2. surprise:意外性、期待と現実のギャップ等
  3. story:物語、連載企画等
  4. expert:権威や専門性等
  5. news:最新情報、海外マーケット情報等
  6. curation:まとめや要約、一覧、比較等
  7. efecter:著名人による解説やインタビュー等

コンテンツ設計フレームワーク_エッセンス_B-dash

ちなみに具体例としてプロモニスタで考えてみました。「自社だったらどんなコンテンツになるだろう?」と想像しながら見てもらえると、参考になるかもしれません。

example:成功事例や失敗事例等

・自社運営サイトの成功事例


・成功事例の分析記事

surprise:意外性、期待と現実のギャップ等

当てはまるコンテンツが……ないです。作らないといけませんね。

story:物語、連載企画等

こちらはブログでは公開していませんが、
メルマガのひとつのコンテンツとして連載のようなものを提供しています。

expert:権威や専門性等

・コンテンツプロット図の解説は専門性が高いかもしれません

・まとめではありますが、SEOコンサルタントがおすすめするという点では権威性や専門性がプラスされているかと。

news:最新情報、海外マーケット情報等

・海外の情報を翻訳した記事
Googleアルゴリズム完全分析 “SEOの全て”

curation:まとめや要約、一覧、比較等

・SEO歴5年(当時)の上級アナリストが厳選したまとめ

・最新情報/ニュースのキュレーション

efecter:著名人による解説やインタビュー等

・成功事例と言われているオウンドメディアの担当者の方にインタビュー

まとめ

MAツール導入時のシナリオ設計に役立つフレームワークを3つご紹介させていただきました。

実際に、数多くの企業に導入され成果を上げているマーケティングオートメーションプラットフォーム「B→Dash」が、そのノウハウを凝縮したフレームワーク、導入に苦労した身からすると、「すごく実践的で、役に立つな」という印象です。

全体として重要なのが、「スモールスタート」すること。最初から一番の理想形を目指すのではなく大胆に絞り込み、まずはひとつの「勝ちパターン」を作る上げるのが賢いやり方なのだとわかりました。

これからMAツールを導入するという方、フロムスクラッチさんが開発・提供する「B→Dash」は導入コンサルティングが契約期間中完全付帯なので問題ありませんが、別のツールで「一から自分たちでやります!」という方は、ぜひぜひフレームワークを参考にしてください。

マーケティングオートメーションプラットフォーム「B→Dash」

プロモニスタ編集部
プロモニスタ編集部
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